プログラム・抄録

第17回大会プログラム抄録集(クリックしてダウンロード) 簡略版Zoomマニュアル(クリックしてダウンロード) 発表者向けZoomマニュアル(クリックしてダウンロード) 聴講者向けZoomマニュアル(クリックしてダウンロード)

主な大会実行委員会企画

公開シンポジウム「質的研究法マッピングの世界を語る」

日時:10/24(土) 16:00~18:00
話題提供者:サトウタツヤ(立命館大学)・安田裕子(立命館大学)・田垣正晋(大阪府立大学)・能智正博(東京大学)・西村ユミ(東京都立大学)・八ッ塚一郎(熊本大学)
司会:春日秀朗(福島県立医科大学)・神崎真実(立命館大学)
概要:「過程ー構造」「実存-理念』の二次元で形成された四象限マトリクスを用いて質的研究の代表的な26の研究法を整理(マッピング)した『質的研究法マッピング』 は、従来にない質的研究法の解説書として多くの人に歓迎されました。この公開講座では、マッピングや質的研究の新しい動向について概説したのち、5人の研究者が各技法について解説します。質的研究全体を俯瞰して見たい方,自身の研究に最適な研究法を探している方、必見の講座です。

大会シンポジウム1 なぜいま質的研究の日韓交流が求められるのか

日時:10/25(日) 14:15~16:15
登壇者:伊藤哲司(茨城大学)・ド・スンイ(成均館大学校)・能智正博(東京大学)他
概要:コロナ禍で延期となった「質心ソウル大会」、その実現を見越して、今回はオンラインで日本と韓国を結び、その共同大会実現への思いを語りあう。日韓の国際関係が必ずしも良好とは言えない現状の中で、私たち質的研究者がどのようにそれを超えて「つなぐ、つどう」(質心ソウル大会のテーマ)ための言葉を紡ぎだしていけるのかを考えたい。日本質的心理学会第18回大会準備委員会主催。

大会講演“The Role and Function of Narrative Research in Qualitative Inquiry”(『質的探求におけるナラティヴ研究の役割と機能』)

日時:10/25(日) 9:00~11:00
登壇者:Michael Bamberg (Clark University)本講演は英語で行われます。(資料は日本語訳を併記、質疑には通訳を検討中です)
概要: Narrative/storytelling has repeatedly been given a privileged standing in qualitative inquiry (and therapeutic efforts). In this presentation, I will briefly go over ‘competing methods’ and try to answer why and how narrative/storytelling stands out in the field of qualitative inquiry (and therapeutic efforts). With this in mind, I then will interrogate different kinds of narrative methodologies in terms of their effectiveness for the broader field of identity research and therapeutic efforts. In my conclusions I will shift to newly emerging qualitative approaches (e.g., participatory action research, phenomenological, situational analysis) and try to place narrative/storytelling within them.
訳文:ナラティヴ/物語りは、質的探求(および心理療法の実践)において、これまでも繰り返し非常に重要な地位を与えられてきた。今回の講演では、「競合するいくつかの方法」を概観した上で、質的探求(および心理療法の実践)の現場においてなぜ、そしていかにナラティヴ/物語りが重視されるのかという問いに答えることを試みる。その上で、広い意味でのアイデンティティ研究と心理療法実践における有効性という観点から、異なる種類のナラティヴの方法論を探索していく。最終的に、注目されつつある新たな質的なアプローチ(例えば、参加型アクション・リサーチ、現象学的、状況的分析)に目を転じ、そのなかにナラティヴ/物語りの概念を位置づけてみる。

講習会

講習会には事前申込みが必要です。こちらのサイトからお申し込み下さい。申込み締切りは10月23日22時の予定です。下記の参加条件、及び申し込みサイトの条件をよく読んでお申込みください。講習会へ参加いただけるのは大会参加者のみです。

講習会1「作業感を減らして楽しくオープン・コーディングをしてみよう」(講師:日高友郎 [福島県立医科大学]) 

日時:10/25(日) 9:00~11:00(本講習会だけ日時が異なります。ご注意下さい。)
概要:質的データ分析の方法の一つであるオープン・コーディングでは、具体的な語りやフィールドノーツの記載をまとめあげ、抽象的な概念の形に置き換えていく。一方、分析の過程においては「既存の概念への分類作業になってしまう」等の悩みを持つことも多い。本講習会では、作業感をなるべく軽減し、分析の過程を研究者自身が楽しみながら、新たな視点・概念を得ることを目標とし、オープン・コーディングの基本的な手続きを学ぶ機会としたい。
受講者に必要な条件(事前に読むもの、当日用意するもの):『質的研究法マッピング』の「オープン・コーディング」の章(p72-79)を事前にご一読ください。当日の用意は特に必要ありません。
時間:120分
方法:ZOOM等のオンライン講演の形式を取りつつ、実際の分析作業を軽く実施します。

講習会2「解釈学的現象学の基本と具体的な方法を学ぶ」(講師:西村ユミ・村上優子[東京都立大学]) 

日時:10/25(日) 16:30~18:30
概要:解釈的現象学は、研究者自身の先行理解を更新させることで、探究しようとする経験の理解(解釈)をすすめる方法である。ここでの更新は、自身の前提を“打ち砕く”ような経験にもなりうる。他方で、他者の経験を理解しつつ、自らの先行理解を更新させ、両者の地平を融合させて新たな理解を作ることは、発見の連続でもある。本講習会では、この方法の基盤となっている現象学・解釈学と具体的な分析例を紹介し、一緒に理解を作ってみたい。
受講者に必要な条件(事前に読むもの、当日用意するもの):現在取り組んでいる研究に関する自分の先行理解(先入見、先入観、ものの見方のくせ)を考えてくる。
時間:120分
方法:講義+実習(例示するトランスクリプトの解釈を試みる)

講習会3「複線径路等至性モデリング(TEM)を学ぶ?過程と発生をとらえるTEAの技法」(講師:安田裕子[立命館大学]) 

日時:10/25(日) 16:30~18:00
概要:TEAは等至性(Equifinality)の概念を組み込み開発された。等至性の概念では、人間を開放システムととらえ、非可逆的な時間と文化的・社会的な影響のもと、多様な軌跡を辿りながらもある定常状態に等しく(Equi)到達する存在であると考える。TEAはその中心をTEMにおく。人の発達や人生径路の複線性・多様性、潜在性・可能性を、プロセスとしてとらえるTEMについて、その基本的な概念や考え方を習得したうえで、ペアワークにより理解を深める。
受講者に必要な条件(事前に読むもの、当日用意するもの):大学院に進学を決めた経緯について記述したもの(400字程度、フィクションでも結構です。ペアで共有しますのでその点お含みおきください。)、A4サイズ白紙の用紙、マジックペン(書いたものが画面越しにくっきりみえるように)
時間:90分
方法:講義+実習(ペアワーク)

講習会4「KJ法をいかした質的分析」(講師:田垣正晋[大阪府立大学]) 

日時:10/25(日) 16:30~18:30
概要:インタビューデータのKJ法に依拠した分析について、データ収集から分析、文章化と図解化、そして論文投稿に至るまでを説明する。KJ法は、グラウンディッドセオリー法(GT法)とほぼ同時期に我が国で開発された。その手法開発場面は、KJ法では農村地域、GT法では医療場面であり、このことが両者の違いをもたらしているだろう。講習では、海外誌に投稿する際のKJ法の説明についても言及する。なお自治体の調査における質的データ(自由記述、グループインタビュー)の分析支援についても、受講生の要望があれば説明する。
受講者に必要な条件(事前に読むもの、当日用意するもの):想定される対象者:特に指定しません。分析例として、医療、看護など「病」「障害者」「福祉」関連の話題を扱います。自治体の自由記述データの分析経験が多いので、自治体職員で、調査を担当する方にも参考になると思います。
 ・事前に読むことが望ましい文献(2は検索でダウンロードできます)(1)田垣正晋 (2019) KJ法 サトウタツヤ・春日秀朗・神崎真実編 ワードマップ質的研究法マッピング 新曜社、pp.52-58 / (2) 田垣正晋 (2014) 脊髄損傷者のライフストーリーから見る中途肢体障害者の障害の意味の長期的変化:両価的視点からの検討 発達心理学研究25(2),172-182.[リンク]
時間:120分弱(途中で質問をいれます)
方法:講義+実習(ちょっとした課題を出します。)

懇親会

日時:2020年10月24日(土)18:15~
会場:Spacial chatを用いて実施予定(詳細は参加申込み完了者用ページで)